危機一髪
あるゲストハウスで披露宴を撮影しておりました。
開宴~主賓挨拶~乾杯~お色直し中座と順調に披露宴は進行していきました。
お色直しも終わり、次は新郎新婦再入場、そしてゲストのテーブルを順番に廻り、各テーブルのキャンドルを灯してゆきます。
この新郎新婦が選ばれたメインテーブルのキャンドルは、大きなメインキャンドルの下にいくつかのミニキャンドルがあり、
新郎新婦様がご中座されてるあいだに、サービススタッフがミニキャンドルのみ先に灯しておくタイプでした。
さて、新郎新婦のゲスト卓へのキャンドルサービス。
1卓、1卓と順番にゆっくりと、共同作業で灯してゆきます。
ゲストテーブルの数は全部で12卓、いよいよメインテーブルの大きなキャンドルに光を灯す時がせまってきました。
10卓目のゲストテーブルにキャンドルを灯そうかという時、それを撮影しています私にサービスの方がレンズの陰から近づいて来ました。
そして私の耳元で優しく、しかしハッキリと一言。
(゚Д゚;)「ライター持ってますか!!!!???」
通常でしたらお客様がタバコを吸われるために、サービスに申しつけた→会場側でライターのストックを切らしてしまった→あのビデオカメラマンはライター持ってるかな?→聞いてみよう
という流れも考えられますが、今はキャンドルサービスの撮影中。 ビデオ撮影として一時も気が抜けません。
それはサービスの方も承知しているハズ。
そんな時に私に声をかけてくるのです。
私も0.5秒で状況を察し、次の0.5秒で視線を一瞬メインテーブルに向けました。
…………ミニキャンドルに灯が灯ってません (´`)
ゲストの皆様は新郎新婦の幸せなお姿にみとれています。
メインテーブルまであと3卓。
次の0.5秒で私はカメラのファインダーから目をそらす事なく、ポケットから出したライターをサービスの方に託しました。
メインテーブルまであと2卓。
BGMにかき消されてはいましたが、かすかにライターをつける音が私の耳に入ってきます。
メインテーブルまであと1卓。
すべてのゲスト卓にキャンドルを灯され、新郎新婦はメインテーブルに向かいます。
ビデオカメラもそれをゆっくりと追います。
そしてファインダーにメインキャンドルがフレームインしました。
その下のミニキャンドルは…..
灯っています。
間に合いました。
もし私がたまたまライターを持っていなかったら。
考えるのはやめておきましょう。